今や世界中で楽しまれている競馬はもともとイギリスで誕生したといわれています。その後ヨーロッパを中心に広がっていき、今ではすべての大陸において競馬が開催されているのです。最大の馬産国であり競馬大国はアメリカですが、競馬の歴史を見ていくとヨーロッパ各国が果たしてきた役割の大きさに気づくでしょう。

そんな中でもイタリアは大きな役割を担っており、今でこそ存在感が低下しましたが、名馬リボーやネアルコなどの絶対的なサラブレッドが所属していた実績も持ちます。ネアルコは生まれもイタリア。リボーはイギリス生まれですが、現役時代にはイタリアを中心に走り、フランスの凱旋門賞も連覇しています。この頃のイタリア競馬は光り輝いていたといっても過言ではなく、ネアルコが活躍していたのが1930年代、リボーが活躍していたのが1950年代です。両馬とも競走馬としての実績だけでなく種牡馬としても素晴らしい成功を収めており、今でもこれらの馬の血統を引いている馬は多数います。特にネアルコの血を引く馬半分以上いるといっても過言ではないでしょう。

例えば1889年に創設されたミラノ大賞典はイタリアを代表するレースで、1973年にグループ制が導入された時にGIに設定されています。他にもイタリアダービーのデルビーイタリアーノは1884年の創設以降国内外で注目されていました。これら両方のレースともイタリア競馬の衰退とともにGIではなくなってしまいました。

そんな中唯一のGIレースとして知られていたのがリディアテシオ賞。このレースはイタリアにあるカパネッレ競馬場で開催されている2000mのレースで、3歳以上の牝馬が対象です。多くのイタリアのGIレースがG2に格下げされて以降もリディアテシオ賞は何とかGIを維持していましたが、ついにリディアテシオ賞もG2に降格することが発表されました。この結果イタリアには競馬のGIレースが存在しないこととなりました。現在の有力馬の多くはイタリアで活躍した馬の血を引いていて、なおかつ20世紀最高の種牡馬でもあるノーザンダンサーももちろん同様です。こういった現状を見ていると、寂しい気持ちになるものです。

イタリアといえば日本で活躍するジョッキーのミルコデムーロ騎手の出身国でもあります。彼が日本で騎乗する理由は日本好きということもありますが、イタリア競馬の衰退も大きく影響しているようです。例えば賞金がなかなか支払われない…といったこともあるようで、このエピソードからもイタリア競馬の現状がわかるでしょう。

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